発表への質問の難しさ
はじめに
「ご清聴ありがとうございました。質問がある方?・・・いないようですし時間も迫っているのでここで終わりにしたいと思います。」
自分の発表に質問がほとんど飛んでこない経験をした人は、少なくないのではないでしょうか。このような場面に遭遇すると、「自分の発表が悪かったのではないか」と自己嫌悪に陥ることもあります。そうして、今後の発表の仕方やスライドの構成などを見直す方向に向かうことが一般的です。
しかし、これは発表者だけが抱える問題でしょうか?自分が聞く側になった時、どれだけの人が自発的に質問できるでしょうか?また、質問をすることのハードルはどこから来るのでしょうか?
発表については、発表資料の改善や情報・フィードバックを得る機会が多いですが、「良い質問の仕方」という点に関しては、なかなか具体的なアドバイスは得られません。
そこで、自分が質問したいのにできない時、どこでひっかかるのかを整理するために、自分なりに分類してみました。
注:本記事は、自分のもやもやポイントを記録することが目的であり、質問しやすくなるためのヒントを提供が主目的ではありません。
前提
- 技術的な内容の発表であり、聴衆も技術者
- 聴衆は数人以上を想定し、互いに必ずしも知り合いではない
- 発表は一方的に進み、発表後に質疑応答の時間が設けられる
- 例:学会の口頭発表、会社での論文紹介
質問のしにくさの観点
以下3つの観点*1で整理してみました。
各観点何個か列挙しており、それに対する自分がしている対策が思いつくものは併記しています。
1. 技術的な側面
- 話されている内容に関して、詳しくないため質問が思いつかない。
- 策:理解できなかったことを書き出しておく。
- 理解できなかったことをもう一度詳しく説明してもらうのも質問の一種だと思います。
- 策:理解できなかったことを書き出しておく。
- 聞きたいことがあるがどう質問していいかはわからない。
- 策:質問のテンプレートを用意しておくことで、疑問点を質問の形に整形しやすくなる。
- 例:
- 今後の展望について:他にどういった応用が可能なのでしょうか?
- 用語について:◯◯とは△△ということでしょうか?
- 手法について:◯◯と△△の違いはどこにあるのでしょうか?
- 例:
- 策:質問のテンプレートを用意しておくことで、疑問点を質問の形に整形しやすくなる。
2. 心理的な側面
-
質問すること自体が恥ずかしい。
-
質問内容があやふやで変なことを聞いていないか不安になってしまう。
- 策:短い質問に分解する。
- 質問があやふやなときは自分の中で一度整理し直すと聞きたいことが見えてくることがあります。
- 策:短い質問に分解する。
- 途中から参加したため、すでに言及されているかもと思ってしまう。
- 策:資料が共有されているのであれば疑問点が言及されていたかをさらっと探してみる。
3. 記憶的な側面
- 気になることがあったはずだが思い出せず、質問ができない。
- 策:聞くときに少しでいいのでメモを残す癖をつける。
- ページ数などをメモっておくと、ページ数を伝えて意思疎通が便利になるのでおすすめです。*4
- 策:聞くときに少しでいいのでメモを残す癖をつける。
最後に
上記では触れませんでしたが、他の人の質問を聞くだけでもどういった質問が鋭いか・上手いかなどはわかるときもあると思うので色々と発表を聞くのが個人的には良いと思っています。また、他の人の質問を聞いて追加の説明を聞くと新たに質問が思い浮かぶこともあるので追って質問するのでも良いとは思います。
将来的には、スライドからLLMなどを用いて質問を生成し聴衆が聞きたい質問に投票するといったスタイルの発表が生まれる可能性もあるなとも思いますが、またそれは別の話ですね。